「彩月!ごめんね!そんな辛い思いしてるなんて気づけなくて!ごめんね!」

そう言って、私も抱きしめたまま泣き出す茉莉ちゃん。

せっかく泣き止んだのに、また目頭が熱くなる。

「言いたくなかったんなら仕方ないよ」

ただ、と付け加える。

「ただ、そんな大事なことだったら言って欲しかったかも」

いつもヘラヘラしている翔くんが少し悲しそうに笑う。
そんな顔させてしまってごめんなさい。

「私こそ、内緒にしててごめんね」


「…彩月」

お兄ちゃんが不安そうに名前を呼ぶ。


「彩月、俺のせいでごめんな」

叩いてしまった頬が赤くなっている。
「私も叩いちゃってごめんね」

お兄ちゃんはただ純粋に心配してくれてただけなのに。


「ちゃんと、話すよ 内緒にしていた分全部」

大切だから話さないって言うのは、ダメだって気づいたから。