全ての記憶を《写真》に込めて



「まず、この写真の違和感に気づいたか?」
家に着いてからみんなで私の部屋に集まる。
そして、おかしな写真を見つめる。

「ここに、変な人が……」

「ひっ、さ、彩月……っ!撮られてるんじゃないの!?」
そうなのだ。
私が晴くんの応援をしている時。
翔くんある一点に気づき目を向けた。
それは、観客席だ。
そこからカメラを持ったフードをかぶった男性。
それだけならまだいい。
そう、それだけなら、ね。

「走ってる人を撮るなら、まぁ晴とかを撮るならカメラは左側に向くだろ?」
走っている人の方に向くからね。
だけど、この人は………、
「何でずっとこっちを見てるの………?」
カメラをずっとこちらへ向けて、レンズを覗き込んでいる。
「ねぇ、私たちの高校ってさ、保護者来ないよね?そこって関係者とか、そんな感じの人がいるところ、だよね?」
「これ、彩月ちゃんの知り合いとかか?」
「全然知らない人だよ……」
私の知ってる人なんて数少ない。
自分で言うのはおかしいかもしれないけど、晴くんたちに出会うまでは友達すらいなかったから。