このホテルは5階だての全部で30部屋ある建物でエレベーターもあるが私たち清掃員は階段を行き来しなければならない。
それに掃除道具も持ち歩く為なかなかの重労働である。
1人フロントを出てすぐの階段を登る
タンタンタン
自分の足音が響く
各階に扉がありその扉は各部屋の裏側に繋がっている
そこからお客様が出た後に掃除を始めるのだ
3階の扉を開けたら、ホテルには4の作れ部屋が無い為五つ目の部屋が306となる
部屋に入って木下さんが剥ぎに来た時に持ってきてくれていたシーツを取りベッドを張っていく
基本二人で張るが忙しい時なんかは一人で張ったりすることもある
ベッドを5分程度で張り終えアメニティグッズを補充していく
自販機の中の玩具も補充し終えて
ゴミを回収していると、ガチャっと部屋の扉が開いた
「まゆちー遅れてごめんねー」
そう言って入ってきたのは美雪ちゃん
クイックルワイパーをかけ始めてくれている
ゴミ箱の中を確認して蓋を閉めるとゴミ箱の横に何か落ちているのに気づいた
「ん?なにこれ」
それを手に取り見てみるとなにか注射器のようなものだった
「これって、やばくない?」
美雪ちゃんが近ずいてくる
「え、なんで?」
「なんで?って、そゆうの麻薬打つ時に使うじゃん?」
そういう事に疎い私にはよく分からないがそういうものがあるらしい
「まぁ、うちも詳しくわかんないけどかドラマとかで見た気がしただけだからよくわかんないけどさー」
美雪ちゃんはドラマ好きだからなー
「あ、でもりまりまが昨日警察が来たってゆってたよー」
りまりまとは木下さんのあだ名
と言っても美雪ちゃんしか呼んでないけれど
「警察?なんかあったのかな?」
よくお客様とデリヘル会社のトラブルで警察が来ることがたまにある
「んー最近変なドラッグが回ってるらしくてなんかあったら連絡くれーってゆってたらしーよ?」
なるほど、え、何かあったらって
「これは、その何かになるのかな?」
注射器を持ち上げアピールする
「んーどうだろ、」
ダンダンダン
隣の部屋から大きな物音が響いた
「なに?」
二人して顔を見合わせそっと壁に近づく
ダンダンダン
さっきのと同じくらいの音が響く

