「それって…まるで外国のホラー映画ね」
しばらく黙っていた光希さんがそう口にした
「食人…」
人を食べる化物
「殺しても死なない…」
「ゾンビみたいね」
ははっと乾いた笑いを零す光希さん
しかしその顔は怖張りこれが冗談や夢なんかじゃないと現実を突きつけられた
「もし、ゾンビなんてものがこの世に存在するなら…」
そこまで言って自分がなにか得体の知れない物体にどんどん沈んでいく様な感覚を覚えた
逃げ場も助けもない
警察だって歯が立たなかったのだから…
ましてやゾンビがいるなんて言っても信じてもらえないか
私の頭が沸いてると思われて取り合っても貰えないだろう
絶望、それが私を包んでいた。