自分で磨いておきながら綺麗すぎる部屋は落ち着かなくて、その日は明け方まで眠れなかった。
新聞配達のエンジン音が聞こえ、空が明るくなる頃、私は寝室のカーテンを閉めてベッドに横になることにした。

朝の5時になる少し前くらいだ。冷えてきた体を薄い毛布で包んで、胎児のように丸まり目を閉じた。

また1日が始まってしまう焦りに固く目を瞑り、大丈夫大丈夫と繰り返す。憂鬱も不安も焦燥も感じていたけれど、そのわりに結局、深く眠ってしまった。

正大が帰って来たのはその朝だった。