舐めてもらっては困る。


この皆月の姓で今までどれだけの胡麻擂りに会ってきたと思ってるんだ。



私だってただのんびり生きてるだけのお嬢様じゃない。





「さっきの『バカだね』以上にバカにしてるよね?私のこと」




三芳くんの表情には、これまでもたまに引っかかっていた。


今この時までその疑問が何なんなのか分からなかったけど、やっと分かったよ。




「そんなにくだらない?恋愛って」



三芳くんは多分、心情を隠すことに癖がついている。



大きな財閥の御曹司だからこそついてしまった癖。




「別に私バカにされても傷付いたりしないよ?それに、」

「…プッ、」

「え?」

「あはははっ…!」



"それに、李樹のこと諦める気もないし"



そう言おうとした私の言葉を抑えて、三芳くんは今までで一番大きな笑い声をあげた。