「三芳くんはそれでいいの？」
「え、何が？」
「や、だから…。勝手に結婚相手決められるって」
嫌じゃない？
そんな思いを込めて聞いてみたけれど、彼は私の言ってる意味がわからないのかキョトン顔で見つめ返してくる。
「え、だってそういうもんでしょ？」
「え？」
それから、そんなことを言い出した。
「何、もしかして彩葉ちゃん、恋愛を経てから結婚したいタイプ？」
そんなことまで聞かれて、私は頷き返すしかない。
誰だって、結婚は恋愛結婚がいいと思うのは普通のことだと思うし。
何より私には今、好きな人がいるんだから。
「あー、自覚なしか」
「へ？」
「自分の立場ってやつ」
ニコッと笑う彼の意図は私には読めない。
けど、それが心からの笑みではないことくらいは分かった。
「俺らみたいな金持ちの子供は、家のために結婚するんだよ」
「…っ」
「何処かで分かってはいるでしょ？結婚するには、それなりの力の人じゃないといけないってことくらい」
三芳くんの言葉がやけに胸に突き刺さる。
それは少なくとも、私にもその自覚があったから。
