そんな涼しげな横顔に胸がトクンと脈打つ私はもう異常だと言ってもいい。




李樹は分かっていない。


この想いのどこが勘違いだなんて言うんだろうか。




「李樹」

「ん?」



呼べば、李樹は必ず振り向いてくれる。




どんなに私が遠ざけようと、私と気まずい空気になろうと、それは変わらない。


李樹が私から離れる事は、父様が命じない限り不可能だ。



嫌でも私達は一緒にいることになる。




だったら。




「勘違いじゃないから」

「…え?」



だったら、嫌なくらい想いを言い続けてみようか、なんて考えがよぎったんだ。





「昨日のこと。勘違いなんかじゃないから。絶対に」

「…っ、彩葉?」

「覚えててよ、李樹。何度でも言うから覚悟して」




どんなに苦しくても、離れたくなっても、後悔しない程には李樹に好きを伝えたい。




どうせ私は好きを止めることなんて出来ないんだから。




未だトークに花を咲かせる関本双子の横で、私は驚いた表情を見せる李樹の耳に口を寄せた。




「好きだよ、李樹」

「…っ」



少しでも、このズルいボディーガードに届けたい。