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「皆月さん、呼んでるよー?」
「え?」
次の日の学校の昼休みで、私はクラスメイトにそう言われた。
呼んでる、という本人を見れば、そこには知らない男子が1人。
「あ、あのー。どちら様で…?」
今李樹は先生に呼び出されていてこの場にいない。
何もないとは分かっていても、あまり知らない人に近付くことだけは避けたい。
恐る恐るその男子に近付けば、その人は一枚の紙切れだけを差し出して来た。
「え?」
拍子抜けしてしまう私に、目の前のその男子は少し照れたように笑う。
「これ、俺の連絡先です。よかったら友達になってくれませんか…?」
受け取った紙には、中橋という苗字と電話番号が書かれている。
つまり、彼が中橋くんというわけだ。
「え、えーっと…」
戸惑う私に、その様子を見ていたらしい周りがざわざわと騒ぎ始める。
「おい、あいつ勇者だぞ」
「椎名の存在知らないのか?」
騒いでいる内容はそんなことばかり。



