「…とりあえず、彩葉が本当にお嬢様なのは分かった」

「え、そこ?」



家に着いて、私の部屋でお茶を飲む光里は開口一番にそう言い放つ。



実際に見るのは初めてだったであろう私と李樹の本当の関係に、かなり驚いてるようだった。





「それでも光里は変わらないね」

「え、何が?」

「だって媚び売ったりしないもん。距離を置いたりもしない」



今までなら、無駄に近付いてくるか離れて行くかの2択だったのに。




「何言ってんのっ!お嬢様だろうとなんだろうと、彩葉は彩葉でしょ?」

「えへへ。光里大好きー」



本当に、今の高校に入って心の底からよかったって思えるよ。





そのまま私は、昨日のことを光里に全部話した。


簡潔ではなく、しっかりと。




誘拐されて、それを李樹が助けに来てくれたこと。


自分のせいだと李樹が責めていること。


そんな李樹に想いを告げて、勘違いだと言われ振られたこと。





「あ、この子はその時に一緒だった黒猫のヤマトくんです」

「ミャア」

「どーも」



ちなみに、母親が見つかるまでうちで飼う事になった例の黒猫ちゃんの紹介もしておいた。