私のせいだ。私が、勝手に競争なんかしたから。
「皆月の家なら、身代金はたんまり貰えるぞ」
「そしたらみんなでパーっとやろうぜ」
…こんなやつらのために、李樹が焦っている。
こんな状況でも李樹のことを考える私って相当バカだとは思うけど。
けど、それでも、私の中でやっぱり李樹が特別な存在なわけで。
「あなた達はお金を手に入れる前にボコボコにされて警察送りよ。私のボディーガードは優秀なんだから」
「あ?なんだとこのアマ…!」
李樹の、私からの信頼は絶大だ。
私の言葉に怒りを露わにした男達。
が、それも一瞬で。
次にそいつらは、余裕の笑みを浮かべこう言ったんだ。
「フンッ、精々ここで無駄な期待をして待ってるがいいさ。身代金さえ手に入れれば、もうお前に用はない」
「え───?」
「じゃあな、お嬢様。…永遠に」
─────バタン
そして、男達はこの建物から消えていった。
「………っ」
急に、恐怖が押し寄せてくる。
微かに漂うガソリンの匂い。
あいつらは、この建物ごと……燃やす気だ。



