でも。
「とにかく、李樹!約束だからね?」
「もちろん分かってるよ。約束な」
仕方ない、といった李樹の表情に胸が締め付けられても、そんなことはこの際気にしないことにする。
李樹と2人で出かけるなんてレアなこと、もう一生ないかもしれないんだから。
教室に着いても、私と李樹は一緒だ。
ボディーガードとクラスが離れるわけにはいかないからと、父様が学校に話を通したらしい。
「じゃーね、輝」
「うぃーす」
光里は同じクラスだけど、輝だけは隣のクラス。
双子が同じクラスというのは、大人の事情によりだめなんだそうだ。
「あ、彩葉ちゃん、おはよーっ!」
「おーっす、李樹。相変わらず仲良いなぁ、お前ら」
教室に入ると、クラスメイトが声をかけてくれた。
毎回この瞬間がたまらなく好きだったりする。
小中はどこか堅苦しくて苦手だったから。



