「あれは結構わかりやすかったよ」
「え、私全然分からなかった」
「彩葉は分からなくていいの」
そう言いなだめる俺に彩葉はつまんなさそうにムッとする。
そんな顔されたって、守るのは俺の仕事なんだから。
彩葉を危険な目にはもう合わせないって決めたんだ。
でも実際、あの男は本当に分かりやすかった。
明らかに左ポケットにナイフの膨らみがあったし、逆に右ポケットからは何かの写真の角がはみ出していたから。
俺たちの前に何人かとすれ違ったのにその人達には手出ししてないところを見ると、明らかに無差別ではなく彩葉狙い。
右ポケットに入っていた写真はきっと盗撮されたものだろう。
おまけにすれ違う手前から歩くスピードを落とし始めたものだから確実に黒だった。
だから、拘束したにすぎない。



