* 李樹 side **
短いようで、長い道のりだった。
今、俺の右手には当たり前のように彩葉の左手が繋がれている。
学校への道中では、桜が降っていた。
春、4月の終わり時。
あの日のパーティーから半年と少し。
俺たちは、高校3年生になっていた。
「彩葉、もう少しこっち」
「え?」
手を引くことも、もう躊躇なくできる。
そんな俺たちの横を通り過ぎようと近付いて来たサラリーマンの手首を、ガシッと掴んだ。
もちろん、逆手は彩葉を守るように腰に添えて。
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