「司さんにも色々と事情があったのよ。明日になったらその理由も分かるから。だから彩葉ちゃん、司さんを許してあげて?」

「う…麗美さんに言われたら…」


許さないわけにはいかないじゃないですか。



観念してコクンと頷けば、麗美さんは「ありがとう」と頭を撫でてくれる。


それから「一緒に明日の服を選ぼうよ」と誘われて、私と麗美さんは書斎を後にした。





「父さん。先程の話ですが、了承してくれますよね?」

「…あぁ、明日になれば皆月の当主はお前だ。異論はないよ」

「ありがとう。父さん」



その後で、兄様達がそんな話をしていたことを私は知らない。




***



次の日になって、私は朝早くからパーティー会場へと足を運んでいた。



場所は、皆月が所有する日本一と謳われるホテル一式。



どうやら知らなかったのは私だけだったらしく、1週間以上前から今日のために準備していたらしい。


ここに泊まっている宿泊客のほとんどは今日のパーティーに出席する人達だ。