「りーき」 「何?」 呼びかけに普通に答えてくれるその姿に、やっぱり愛おしさがこみ上げる。 一度息を吸って、吐いて。 内心はドキドキさせながら、私は口を開いた。 「好きだよ」 「…っ!」 ピクリと反応したのを、私は見逃さない。 「好き、李樹」 「お嬢…、」 「やだ。彩葉って呼んで」 お嬢様、と呼ばれる前に言葉を被せてそれを遮る。 先手を打った私に、李樹は観念したかのようにもう一度私を「彩葉」と呼んだ。