三芳くんが自分のご両親を説得してくれるものだと思っていたから、父様と母様への説得は私がやるしかないと思っていたのに。


叱られると思っていた私は、三芳くんの言葉があってか謝られたのだ。




…ありがとう、三芳くん。



また明日、私はちゃんと彼にお礼を言わなきゃいけない。




けど、その前に。


「父様、母様。お話があります」


折角繋げてくれたこのバトンを持って、私は自分なりにゴールに向かわなければいけないと思った。



三芳くんに、ちゃんと顔向けできるように。




「私は、好きな人と結婚したいです」


伝えるんだ、ちゃんと。




「…そうか」

「彩葉。その好きな人っていうのはどんな方なの?」



父様は相槌だけで特に何も言わない。


その代わり、母様がその相手を尋ねて来た。




父様も母様もよく知っている、その人のことを。