「ずるいね、彩葉ちゃんは」


はぁ〜、と大きなため息を吐きながら、三芳くんは髪をくしゃっとかきあげて苦笑した。




「そんなに俺のこと思ってくれてたら何も言えないじゃんか」

「…ごめん」

「友達としては俺、彩葉ちゃんに想われてると思っていいんだよね?」


そこは力強くこくんと頷く。



それと同時に、三芳くんはポンと私の頭を撫でた。




「…分かったよ。諦める」


静かに三芳くんはそう言った。



その表情が悲しげで、苦しげで、見ているだけで温かいものが頬を伝う。


それを、そっと三芳くんの指が拭ってくれた。




「彩葉ちゃんが泣くの、ずるいでしょ」

「ごめ…っ」

「あーもう、泣かないで」


三芳くんが困った顔をするのに、私は涙を止められない。