「…私、三芳くんの気持ちには答えられない」
「うん。…そんなことだろうとは思ってたよ。けど、結婚は?」
「結婚もしない」
分かっていた三芳くんの返しは冷静だ。
私も、自分が思っていたより冷静に会話が出来ている。
「彩葉ちゃん。それがどういうことかわかってる?」
「…うん」
けど、張り詰めた空気になってしまった。
これは、私達が2人で決められることではない。
皆月家と三好家。この両家全体の問題になってしまうから。
「そんなに椎名クンが好き?」
「うん」
「あんなに彩葉ちゃんを泣かせる男だよ?しかも一般人ですらない。使用人だ」
「…わかってる」
分かってないよ、と三芳くんは続ける。



