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そしてやって来た、お休みの今日。
「りーきっ」
「ん?随分とご機嫌だね、彩葉」
学校へ向かう中、私は彼氏モードの李樹に笑顔で話しかけた。
その内容は、昨晩ずっと考えていたこと。
「ねぇ、今日の放課後、デートしない?」
「……え?」
まさかの私から発せられた"デート" という単語に、李樹は目を丸くした。
ふふん。
ここまでは予想済みだもんね。
恋人をやってきていながら、私達はこれまでに一度足りとも2人で出かけたことがない。
理由は単純。危ないからの、その一択。
「……よろしいのですか、そんなこと」
余程驚いたのか、李樹はいつもの敬語口調で私にそう尋ねた。
けど、ここも予想済み。
「えぇ。許可はちゃんともらってるわ。それに何より、何かあっても私には李樹がいるから平気でしょ?」
「それは……そう、だけど」
私のここまでの対策に、李樹は渋々敬語を飲み込んで、ようやく首を縦に振った。



