「そろそろ離していただかないと、その手を捻り上げることになりますが?三芳様」

「おっと、それは困るな」



李樹の言葉に、私の手から三芳くんの手がパッと離れたのはすぐのこと。


そのタイミングで私は兄様に呼ばれ、その場を後にすることになった。




だから、



「……。なんか、吹っ切ったよね、椎名クン」

「さぁ、何のことでしょう?」

「彩葉ちゃんは渡さないから」

「お嬢様の側にいるのはずっと俺ですよ」

「…ムカつく」



残された2人がそんな会話をしていただなんて、知る由もない。





「麗美さんっ!」

「きゃー、彩葉ちゃんだ〜!」



兄様の元へ行けば、その横には綺麗なエメラルドグリーンのドレスを着た兄様の婚約者、麗美さんの姿があった。


思わず駆け寄った私に、麗美さんは嬉しそうにぎゅっと私を抱きしめてくれる。