「上にもう一枚、羽織った方がよろしいのでは?」

「っ、そ、そうね」



無性にドキドキして、その言葉の意味を理解する前に返事した。


寒いから、ということだろうか。




李樹、急にどうしたんだろう。


ドキドキしちゃう。意識しちゃうよ。



…忘れたいのに。




「お嬢様」

「…何?」


それなのに、やっぱり李樹はずるかった。



「今日のパーティー、お嬢様の隣にいてもよろしいですか?」

「!!」


何を言いだすかと思えば、初めて李樹から私の隣を求める言葉で。


そんなことを言われて、私が断れると思うのだろうか。


確信犯め。




「…離れちゃダメだからね」

「っ、かしこまりました」


その言葉に、久しぶりの李樹との近い距離に私が舞い上がってしまったことは言うまでもない。