「え、と、…なんか用?」


あぁ、もう。可愛くない。


咄嗟だったとはいえ、上手い言葉が出て来なかった。



「いえ、ちょっと…。…それ、今日のドレスですか?」


珍しく李樹が私の服装に食いつく。


お化粧をしても、もっと豪華なドレスを着てても、李樹は全く気にした素ぶりがなかったのに。




「うん。…似合う?」

「えぇ、とても素敵です」

「…っ!!」



試しに聞いてみたつもりだったのに、案外さらっと出てきた感想の一言。



それがとても予想外だったものだから、一瞬息をするのを忘れてしまった。




「ただ、」

「──っ!」


一歩近付いてきた李樹に、ドキンと胸が鳴る。



なんか、やけに色っぽく見えるのは気のせいだろうか。



スーッ、と、李樹は私の肩をなぞった。


思わずビクついてしまう。