ほら、早く握ってよ。
じゃないと、ドキドキで手が震えそう。
「……しかし、お嬢様。手を握るのは学校の時だけであって」
それでも李樹は、私のお願いを聞いてなんてくれない。
「家の中だからダメだと言うの?いいじゃない、今は私達しかいないんだから」
「ですが、」
私がここまで言ったって、頑なに断られるのはいつものことだ。
あーもう。
どうして、いつも、いつも。
「椎名」
「……なんでしょう」
こうなると、私は奥の手を使うしかない。
家の中では徹底的に主従関係を突き通してくる李樹に、この言葉は絶対だ。
「───……命令よ」
「……っ、かしこまりました」
私の言葉に、李樹は絶対に逆らえない。



