「明日、ご飯作りに行こうか?」



スケジュール張をめくりながら、言った。



「いや、大丈夫。」



大丈夫でも大丈夫なんて言ってほしくなかった。私は、最近会えていない佐田に会う口実としてご飯を作りに行きたかったのに。



「じゃあ、栄養ドリンクでも買って行こうか?」



「コンビニで買うから大丈夫。」



同じように断れてしまって、もしかして佐田は私を避けようとしているんじゃないかという考えが過って、いやいやそんなことはない。佐田と私は相思相愛。以心伝心。繋がっていると思い込んだ。



「そっか……。わかった。」



「うん……。」



私はわざとらしく欠伸をして、「もう寝よっかな。」と提案した。佐田は、「おやすみ。」と言って電話を切った。



佐田の名前と通話時間が表示された画面から、ホーム画面に戻った。この瞬間、私と佐田とを繋ぎ止めているものが消えてしまったみたいで、虚しくなる。



その虚しさを埋めるために、さっき言った「おやすみ。」をメッセージでも送った。まだ寝てないはずなのに、既読は付かなかった。



パンダが布団に入っているスタンプと、犬の頭にハートマークが付いているスタンプを送ったら、既読が付いて、アニメキャラの頭に「Zzzz」が付いているスタンプだけが返って来た。