「どうでした? 千秋楽は。」



佐田は、舞台の打ち上げを放って、私を飲みに誘ってきた。



「千秋楽っていうか、私、あなたが役者をやっているところを初めて見たから。」



「下手だったですよね。」



下手とかそういう問題じゃない。下手でもいい。下手でも頑張ってる方が、頑張ることがダサいと思って、体育祭でダラダラ走る不良なんかよりもよっぽどカッコイイ。



大前提なことであって、大事なこと。佐田はそれを私に示してくれた。