彼の話が終わった時、僕らは唾も飲み込めないくらい緊張していた。

こいつのこの話は何なんだろう。

得も言われぬ迫力は何なんだろう。

そこにいる誰もが、ぬらりとした気味の悪い感覚に囚われた。

僕は、ビールをグっと飲み干すと、勢いをつけてこう言った。

「・・・んな気味の悪い話はやめろよ!

楽しく嘘の話をしよーぜ!

ほら、お前もやっぱり何か嘘ついてみろよ!」

そういうと彼は、口角を釣り上げただけの不気味な笑みを見せた。

その表情に、体の底から身震いするような恐怖を覚えた。

そして、口を開いた

「もう、ついたよ」

『ひとつ、作り話をするよ』