好きの海に溺れそう

「海琉起こしにきたつもりがあたしも寝ちゃってた…」

「起きたら杏光が寝ててびっくりしたよ」

「日夏絶対怒ってる! 海琉早く着替えて!」



海琉にワイシャツと制服を投げ渡す。



「はいはい…」



寝起きの顔でワイシャツのボタンを付けていく海琉。



「あっ、掛け違えた…」

「何やってんの! ほら!」



海琉が微妙に寝ぼけてるから、代わりにボタンを付けていく。



海琉のこのしまりのある細い体が好き。



…とか考えてる場合じゃない!



ようやく着替えた海琉に朝ご飯を詰め込ませて海琉の家を出た。



「チャリ出して!」



あたしは海琉に叫んだ。



遅刻をしそうな時は幼なじみだったときからいつも、海琉の自転車に二人乗りしてる。



「でも歩いていって間に合うよ?」

「日夏と一時間前に学校着くって約束しちゃったの~…」



海琉が、仕方ないなという顔をして、1階についてからマンションの駐輪場から自転車を持ってきてくれた。



「ありがと! 海琉大好き!」



海琉のうしろに乗って、海琉のお腹に腕をまわす。



幼なじみだったときはこんな掴まり方しなかった。



だけど自然と体が動く。



「しゅっぱーつ」



自転車がゆっくり動き出す。



今日は朝から海琉と2回も密着してる。



学校に着いて教室に駆け込んだ。



「日夏ごめん!」

「おそいっつーの」

「ほんとごめん!」

「寝坊?」

「いや…」



訳を説明した。



聞いた日夏は大爆笑。



「かっわいー。あんたらほんとラブラブだよね」

「ね!? だから許して!」

「やだ」