好きの海に溺れそう

悠麗は黙って白いごはんを口に運んだ。



悠麗も玖麗が本気なんてことはあたしに聞くまでもなくわかってるはずだ。



3口くらい食べたところで、また悠麗が口を開く。



「俺…さ、言い訳かもしれねえけど、自分のことで精一杯だった…」

「わかってるよ。玖麗だってきっとわかってる」

「玖麗に悪いことしたな…。」



悠麗のいいところは、こうやって反省できるとこ。



悠麗のそういうとこ、あたしは好きだ。



「玖麗に謝っといて」



悠麗が言った。



「俺も、俺で自分のこと、なんとかしてみる。玖麗のおかげでちょっと目も覚めたし」



そう言った悠麗は、それからは何も言わずにただ黙々と食べていた。



だけど、心なしか表情は、少し、ほんの少しだけ晴れていた気がする。



それはまるで、枯れていた花が水を与えられたようだった。



そして体育祭当日!



朝から張り切って早起きしたあたしは、現在海琉の部屋。



「海琉~…。起きてよ」



海琉がなかなか起きない。



まあいつもより1時間も早いかあら当たり前っちゃ当たり前かもしれないけど。



それにしても寝顔が可愛すぎる。



肌すべすべだし、洗顔剤のCM出られそう…。



寝顔があまりにも愛おしくて、カーペットに座って海琉の頬に唇を落とした。



ゆっくり唇を離した瞬間、海琉があたしに腕を伸ばした。



あたしの頭をぐいっと引き寄せて、海琉の肩に頭が密着した状態になる。



海琉の心臓の音と体温が体中に響いて心地良い。



そのまま白い光に包まれた気がした。



*



「えっ?」



海琉の声がする。



「ん~…?」



あたしはゆっくり起き上がった。



…ん!? 起き上がった!?



「今何時!?」



いつの間にか寝てた…。



気づけばあたしは1時間も寝てたらしい。