好きの海に溺れそう

一人で大仕事をした気分のあたしは、大きなため息。



海琉はニコニコしてる。



手を出してくれたから嬉しくなってそれを握った。



ショーが終わったらとりあえず遊ぶ!



アトラクションに片っ端から乗った。



最後に残ったのは観覧車。



「60分待ちだって。これ乗り終わったらちょうど花火間に合う感じだね」



ちょうどいいから乗ることにした。



待ってる時間は、海琉が隣にいるから嫌いじゃない。



だけど60分を過ぎたら、さすがに「あれ?」と思うようになった。



全く前が進まない。



今少し止まっているみたいだ。



「花火はじまっちゃうじゃ~ん…」

「乗るのやめる?」

「ううん、乗る」



こんなに待ったのに今更それを止めるのも嫌だし、海琉と恋人らしいことができるなら何だってしたい。



もう少し待ったらやっと順番がきた。



花火の時間はギリギリ。



観覧車の中では色々見える。



もう暗いので、灯りがとても綺麗だ。



「あ! ねえ海琉~。さっきのショーんとこ見えるよ。イルカかな、あれ」

「え、ほんと?」



海琉があたしの所に来たから観覧車が少し傾く。



その反動で海琉がちょっと足を滑らせた。



「いったーい…」



海琉があたしの肩をつかんだせいで、あたしは頭をぶつけるハメに。



そのとき、あたしの後ろの窓から色とりどりの光が漏れた。



花火だ…。



あたしの肩をつかんだまま、少しあたしを見下ろしてる海琉の顔に光が写っている。



ちょっと見とれてしまって、海琉の白い肌に写る光に手を伸ばして触れた。



「海琉に花火みっけ…」



海琉の頬に触れた手にも、花火が映り込む。



「杏光…」

「ん?」

「なんか…超きれい…」

「え? なにが?」



海琉があたしの顔を見つめている。



あたしの心臓が、ゆっくりと大きく脈打ちはじめた。



「…キスしていい?」



海琉の口から言葉が漏れた。



やばい…。



心臓止まりそう…。



「聞くなバカ…」



悟られたくなくて、精一杯の強がり。



海琉は少し笑うとあたしの肩を押さえたままあたしに顔を近づけた。



はじめてじゃないのに、はじめてみたいに物凄くドキドキする…。



優しく触れた唇。



海琉の心臓の音が聞こえるくらい近い。



ゆっくりと唇を離して、あたしの顔のすぐ近くで海琉は照れたように笑った。



幸せってこういうことだなって思った。



あたしの後ろで、花火は笑うように咲いていた。