好きの海に溺れそう

「杏光、着替えない?」

「は!? なんで!?」

「他の人に見せるのもったいない…」



ぎゃあ!



独占欲ですか!



や、やばい…。



ぎゅんっときたよ…。



「隣で『彼氏です』って自信満々な顔して立ってて?」



付き合ってから新しい面たくさん見てる…。



甘えたり独占欲見せたり…。



好きなんですけど…。



海琉が出した手をぎゅっと握って歩き出した。



電車で5駅のところにあるテーマパーク。



着いたらまだ人はまばら。



海琉とチケットを買って水族館に入った。



中は薄暗くて、大きい水槽から見える銀色の魚がきらきらと光っている。



なんかもう、こうしてるだけで楽しい…。



薄暗くてよく見えない海琉の表情は今どんなかな。



わからなくてちょっと切なくて。



それを補うように、海琉にもっとくっついた。



「海琉! くらげ!」

「ほんとだ。いっぱいいる~」

「ねえ、くらげっておいしいの?」

「え? なんで…。知らないよ」



あたしも知らな~い。



よくわかんない魚とか、映画に出てきた熱帯魚とか、そういうのをたくさん見た。



それから別館と繋ぐ渡り廊下に出た。



急に光が入ってきて眩しい。



渡り廊下で繋がれた別館にはペンギンとかシロクマとか、そういうのがいた。



「ペンギンたちもこんなあっついのに大変だねえ。お客さんに精一杯愛想振りまいて」

「…そんな見方してるの杏光くらいだよ」

「そんなことないよ」



もう少し歩くと、ショーが見られるようなステージがあった。



観客用の椅子にはまだ誰も座っていない。



「海琉、せっかくだからショーとか見たい」

「そだね。次、14時半だって」

「あと1時間もあるじゃん…」