好きの海に溺れそう

「あたし幸せだよ…」



海琉から少し身体を離して、正面から海琉を見た。



それからガバッと抱きついて、バカみたいにキスした。



多分海琉の顔は真っ赤だと思うけど。



すぐこんなのにも慣れさせるよ。



「これから、海琉と、いっぱいいっぱい楽しいことする。そんであたしでいっぱいにしてみせる」

「もうすでにいっぱいだよ?」

「もっといっぱいにするの!」

「楽しみにしてる」



また海琉にぎゅっとした。



好きで好きでしょうがない…。



「それで、杏光、こんな時にあれだけど…」

「なに?」

「…そろそろ足が限界」

「…」



バカ海琉!



あたしがずっと海琉の足の上に座ってたから痛いみたいだ。



だから立ってリビングに行こうとした。



「杏光待って…」

「今度はなに?」

「足しびれた…。超痛い…」



片足を前に出したまま動かない海琉。



その変な格好がおもしろくて、海琉の足元にしゃがみ込んで突っついた。



「ちょ、やめて!?」



心が広いのか、海琉が本気で怒ることはほぼない。



これでも割と怒っている方。



そういう穏やかなところは玖麗に似ている。



「玖麗に嫉妬…」

「ん? なんのこと?」

「なんでもない」

「さっきみたいなこと、もうしないでね?」

「しない!」



遠慮しない関係は恋人同士にもなっても変わらないみたい。



…ん?