好きの海に溺れそう

「杏光に、好きって初めて言われたとき、不安と驚きでいっぱいだった。もう幼なじみでいられないのか、とか、何言ってんの杏光って。ちょっと怖かったりもした」

「うん…」

「もう幼なじみでいられないって思ったら苦しかった。だけど、杏光にちゃんと向き合わなきゃいけないって思った」



海琉は変わらずあたしの目を見て話してる。



そんな真剣な表情にドキドキしてる…。



「だけどやっぱり杏光に会ったら気まずくて。そんなの杏光にすぐバレるのはわかってたけど、そんな時にね、ほら、杏光の石、俺に当ったときあったでしょ?」



海琉はそう言ってちょっと笑った。



あたしもつられて笑う。



「多分あのとき俺、すっごく顔に『気まずい』って書いてあったと思う。でしょ?」

「うん、バレバレ」

「だけど杏光は俺のそんな表情お構いなしに、ただひたすら心配してくれた」



だってあたしのせいだし…。



「その時から、いや、本当はその前の、二か月前、杏光の雰囲気が変わったときから…杏光の新しい表情が、杏光のことが、気になってしょうがなくなってたの」



二か月前…。



海琉のことを、男の子だって気づいたときだ。



普通にしてたつもりだけど、海琉にはバレてたんだ…。



自分のことで精いっぱいで、海琉の変化には全く気付かなかった…。



「毎日毎日気づけば杏光のこと考えて。だけど、そんなの認めたくなかった。向き合わなきゃって思ってたけど、いざとなるとやっぱり無理で。ずっと意地張ってた。だけどね?」



海琉がほほ笑む。



「いま、杏光が俺の殻を破ってくれた。俺の意地を見抜いてくれた」



心臓が、ドキドキ鳴っている。



これから起こることを予感している心地いい音。



「好きだよ、杏光」



海琉の唇からその言葉が出た瞬間、目には涙がたまり始めていた。



ずっとその言葉を待ってた…。



「あたしも…大好き…っ」



目の前の海琉にぎゅっと抱き着いた。



涙がこぼれる。



「なに泣いてんの…」

「知らない。バカ、知らない」

「はいはい…」



海琉は同じようにあたしをぎゅっとした。



身体全部から好きがあふれてくる。