好きの海に溺れそう

歩と話すと、いつも海琉に会いたくなる。



だけど会えなくて苦しくて。



帰り道を注意深く見回しても、海琉はいるはずもなく。



諦めた気持ちでマンションに着いた。



エレベーターに乗り、ドアを閉めようとする。



そのとき、エレベーターの外で走る音が聞こえた。



このマンションは階数が多いから、エレベーターに乗り逃すと待つことになることが多い。



他のエレベーターも全て使われてたから、多分今、このエレベーターしか使えない。



あたしは開くボタンを押して少し待った。



ドアのところを抑えて、男子高校生が入って来た。



って…。



海琉じゃん!



海琉の方も、あたしに気づいて「あっ」と言ったあとに顔をうつむかせた。



「ちょっとちょっと、あんた失礼じゃない? こっち向きな」

「なに…」



極力あたしと目を合わせないようにして、海琉が顔を上げる。



その顔を見ると、やっぱり頬が赤くて。



それが何だかとても可愛い。



「そういえば朝、何買ったの? 海琉が朝からコンビニって珍しい」

「飲み物買っただけ…」

「なんで? 学校で買えばいいじゃん。いつもそうしてたよね」

「…」



海琉の顔を真っ直ぐ見たら、更に赤くなっちゃった…。



長い間エレベーターに乗っていたけど、今日はとても短く感じる。



エレベーターがあたし達の階に着くと、海琉は逃げるように降りて行ってしまった。



やっぱり海琉…。



朝からずっと思ってた。



あたしのこと、好き…なんでしょ?