好きの海に溺れそう

お昼前に海琉の家を出て家に帰った。



玖麗が来ていて、悠麗と海琉と3人で宿題をしてた。



あたしも以前ならここに入ってた。



だけどそうできないことがすごく悲しくて。



部屋に入ってひたすら昼寝。



海琉とそのときから会わないまま、いつの間にか夏休みが終わった。



会おうと思えば、もしかしたら会えたかもしれない。



だけどその勇気は、今のあたしにはない。



あたしらしくないな…。



そんなこと思いながら、学校に行く準備。



幼なじみをやめたあたしと海琉は、もちろん一緒に学校なんて行かない。



だからいつもよりも早い時間に出た。



ドアを開ける。



「いってきま…海琉…」



隣のドアから海琉が出てきた。



しばらくの沈黙。



「海琉、いいよ、幼なじみをやめたって、家は隣なんだから。一緒に行こ」



なんて、ふと口からついて出た。



ちょっとうつむき気味の海琉。



よくよく見ると、なぜか顔が赤い…?



「熱でもあんの?」



そう言うと、少しかすれた声で「ないよ」と言った。



よくわからない空気のままエレベーターに乗る。



階を降りるごとに人がどんどん乗ってきて、その空気はすぐに薄れた。



「ね、コンビニ寄ってくから先行ってて?」



エレベーターを降りた海琉が、やっぱり赤い顔のまま、あたしを置いてコンビニへ行ってしまった。



もしかして海琉…。



あたしだって鈍感の方じゃない。



その可能性に気づいたら、海琉に対しての怒ってた気持ちとか、悲壮感とかも全て綺麗になくなってしまった。