好きの海に溺れそう

~杏光~

あの海琉がちゃんとした男の子ってことに気づいてから一ヶ月。



海琉には今まで通り普通に接してるつもり。



あたしの中の小さな変化は、多分バレてないと思う…。



この前家で昼寝してたら、海流に撫でられる夢見て焦ったけど…。



ちょうどそのとき海流があたしの髪の毛をどかすために頬に触れてて。



あれはかなり動揺した…。



何か悔しいから、海琉に対してそんな風に思ったことは誰にも秘密だ。



そしていつの間にか夏休みになっていた。



今日は日夏と一緒に海。



お母さんは今日仕事で帰らないらしいから何時まで遊んでても全然平気だ。



悠麗も昼麻ちゃんとどこかに泊まるらしい。



「杏光のビキニかわい~」

「日夏のビキニもかわい~」



遊びます!



日夏と一緒にとことん遊びまくった。



2人で砂のお城を作ってたときのこと。



「俺らも一緒にやっていいー?」



良い感じに日焼けした男2人に声をかけられた。



歳はハタチくらい。



「ナンパ?」



率直に聞いてみる。



「うん。だめ?」



そのとき、ふと海琉の顔が頭をよぎった。



…ん!?



彼氏のことを思い出すならともかく、なんで海琉!?



信じらんない…。



「残念。あたし彼氏いるよ」

「えぇぇ~…。隣の子も?」



日夏はいないけど…。



日夏はさっきからこの男たちを無視してお城を作りつづけてる。



いるって言った方がいいよね?



「いるよ」

「そっかー…。俺らと遊ぶ気になんねえ?」

「なんねえなんねえ」

「わかったよ…。じゃあ行くわ…」



そう言ったその人。



でももう1人の人が動かないのはなぜ?