あたしが自己嫌悪に陥っていたら、仕事に行ってたお母さんが帰ってきた。



「ただいまー」

「お母さん、今日昼麻泊まるから」

「急だなー…。別にいいけど」



お母さんは昼麻ちゃんに笑顔を見せた。



「遠慮しなくていいからね」

「ありがとうございます。本当に、急でごめんなさい…」

「気にしなくていいって、ほんと。逆に食卓が華やかになって嬉しいくらい」



そういうお母さんは、結構理解ある親だと思う。



小さいときから、自分たちのやりたいようにやらせてくれてたし。



でも…。



「あたしが華やかじゃないって言いたいの?お母さんは」

「杏光は一々うるさいな…。あんた家だと適当~だしスエットで華やかさのかけらもないじゃん」

「家だからいいじゃん。それに今はちゃんメイクしてるし服だって制服のままじゃん」

「そう思うならごちゃごちゃ言わないの」



昼麻ちゃんはあたし達のやりとりを笑いながら見てた。



それからご飯を食べ終わって、昼麻ちゃんがお風呂に入りにいった。



悠麗がリビングにいるあたしに声をかける。



「昼麻が急にくることになって悪かったな」

「ん~? ああ、全然いいよ。昼麻ちゃんのこと好きだし」

「昼麻、親と喧嘩したらしくて。漫喫とか行くって言うから心配で連れてきたんだよ」

「そっか。お母さんにお礼言いなね」

「ん」



悠麗はそう言って自分の部屋に戻った。



悠麗は悠麗でかわいい弟だ。



まあ海琉には劣る。



だけど、悠麗は好きな子にはずっと一途だし、優しいところがあるのも知ってる。



昔は女遊びとかもしてたけど、昼麻ちゃんと付き合ってからは全然しない。



要するに浮気はしないんだ。



モテるみたいだけど。