好きの海に溺れそう

「顔赤いよ?」



あたしが意地悪で言ったら、海琉は「杏光も赤いよ」と言った。



やられた…。



「今日は本当にありがとね?」



あたしが言った。



海琉はうなずく。



「楽しかった?」



海琉があたしに聞く。



今度はあたしがうなずいた。



「杏光」

「なに?」

「大好き…」

「あたしも」



どちらからともなくキスをした。



人の目なんて気にならなくて、世界には私たちだけしかいない気がして、ただ海琉に触れたかった。



このまま夕日に吸い込まれていくんじゃないかな、海琉と一緒に。



そんな気分で2人でキスした。

*

夜が完全にやってきた。かなり寒くて海にいるのも限界…。



「ごはん食べる?」

「そうだね、そろそろお腹も空いてきたし」



立ち上がってまた海沿いを歩いた。



歩いていると、立ち並ぶラブホテルたち…。



ちょっとそんな気分かも…。



「海琉…」



一軒のホテルの前で立ち止まる。



「ん?」

「ここ…」



指でさして目でアピール。



海琉はなんて言うかな。



「えっ…はい…る?」

「はいろ…?」



海琉はこういうところ苦手そうだけど。



でも2人きりになれることなんてそんなにないでしょ?



今日は特別…。



海琉と一緒にホテルの中に入った。海琉と来るのってなんだか新鮮でちょっと恥ずかしい。