「お父さん酔ってんの?」

「飲んでねえよ!」



シラフでよくこんなノリになれるな…。



「で、もう1人の息子と娘はどこにいんだよ」

「悠麗も玖麗も友達のとこ」

「なんだよ、せっかく俺が帰ってきたっつーのに」



ほっとけよ…。



「あっそういえば今年の旅行も行くよな?」

「えっ、あ、うん。行くよね? 海琉」

「行くよー」



あたしたちは毎年冬に海琉の家族と玖麗の家族とスノボ旅行に出かける。



お父さんも毎年この時期に帰ってくるから毎年参加だ。



「あとな、悠麗たち帰ってきたらお前らに重大発表あるからよろしく~」



重大発表…?



それがなんなのかは、夜ご飯のときにわかった。



「は? 会社をつくる?」

「だからこれからはずっと家にいるぞ~喜べ」

「会社ってなんの?」

「カメラマン養成すんだよ」



お父さんはカメラマンとして世界を飛び回ってる。



だから、数ヶ月に一回くらいしか今まで家にいなかったわけで。



だからって急に起業…?



「うまくいけば年明けの2月くらいにはもう会社として動けんぞ」

「そんな早くできんの?」

「会社設立自体はすぐなんだけど人集めんのがな~。でもまあ声かける目途は立ってるから」



ふーん。



まあどうでもいいけど…。



ごはんを食べ終わってお風呂も済ませてからベランダに出た。



海琉にメールを送る。



『ベランダ集合~』



しばらくして海琉が来た。



「さっむ…」

「来た来た~」



海琉の家とあたしの家のベランダの間には仕切りがあるけど、ベランダから顔を出せば一応顔を見ながら話せる。