好きの海に溺れそう

日夏はそう言ってまたうつ伏せた。



今度はうつ伏せながら話し出す。



声がくもって聞き取りづらい。



「そしたら、そのタイミングでちょうど歩の友達が来たの…。それも女の子。ギャルね」

「タイミング…」

「そのギャル見たら、あ、あたしって歩と全然違うじゃんって思った。遊ばれてんのかなって」

「そんなわけないじゃん…。歩のあの態度見てわかるよ…」

「頭ではわかるよ? だけどあたしこんな性格だし、急に不安になっちゃった…」



日夏のオクテぶり…。



あたしなら気にしないけど…。



あたしが人肌脱ぎますか。



「日夏、スマホ出しな」

「は?」



日夏からスマホを奪って歩の連絡先を出した。



そのまま電話をかける。



歩はすぐに出た。



《日夏?》

「歩! あんた今日放課後こっち来な」

《は? え?》

「来なきゃ日夏は渡さない」

《渡さないって…は?》

「じゃ、よろしく」



それだけ言って電話を切った。



動揺している日夏にあたしは笑いかけた。



「これだけの突然で意味わかんない電話でも来たら、日夏の勝ちってことでいいよね?」

「…」

「あとはあんたが頑張るだけだよ」



歩ならほぼ間違いなく来ると思うけどね?



そして放課後。



歩は…。



「来ないじゃん…」



日夏は泣きそうだった。



あたしは何も言えなくて。



でも…歩の本気、あたしはわかってるつもりだよ。



ふと顔を上げた。