好きの海に溺れそう

早く帰って海琉に謝ろう。



あたしは日夏のお母さんに挨拶してからまっすぐ海琉の家に行った。



「あ、杏光。どこ行ってたの? 昨日の夜行ったらいないからびっくりしたよ」



リビングに座ってた海琉は普通だ。



あたし達の喧嘩は家族と同じ。



昔からこうで、時間が経てばすぐに忘れる。



「日夏の家泊まってた。日夏今日デートだからそれ手伝ってたんだよね」



あたしが言うと海琉はほっとした顔。



「心配した?」

「うん…」

「ごめんね? あと…旅行のこともごめん」



海琉は優しい顔であたしを見た。



あたしは続ける。



「考えてみたら、次のクリスマスだって一緒にいるもんね? そう思ったらいつでもいいって思ったの」



海琉は何も言わずに立ち上がって、あたしをぎゅっとした。



前より少し背が伸びてる。



「一部屋だけ、イブにあいてる綺麗な旅館見つけたんだ」



あたしを抱きしめながら海琉が言った。



海琉の上の中で、海琉を見上げる。



「イブじゃなくても良いんだよ?」

「もう予約しちゃった!」



海琉があたしの顔を見た。笑ってあたしを見てる。



やばい…泣きそう…。



「海琉大好き…。ワガママごめん…」

「んーん。俺も怒っちゃってごめんね?」



あたしは首を振って海琉の方に顔を向けた。



完全にキスする流れだった。



なのに…。



「ただいまー!」



買い物に行ってたであろう雛子さんが帰ってきた。



あたし達はぱっと離れる。



親にいいところ邪魔されるの、これで何回目?



全く反省できてないあたし達は苦笑。



「あれー、杏光ちゃん来てたの?」



にこにこしてる雛子さん。