「清奈は……自然と誰かの心を救える力があるんだ。気づかないうちに迷いを払って、人を前向きにさせている」

「え?」

「それは、才能のひとつだ。俺や業吉、紫にもない清奈の力だ」


また、買いかぶって。

そう言おうと思った口は、すぐに動きを止めた。

だって、彼の澄み渡る青空のような曇りない瞳に射抜かれてしまったから。

雅臣先輩の言葉が、本心だとわかったからだ。


「もともと清奈は持ってるんだよ、キラキラしたモノ」

「雅臣先輩……」

「ただ、気づいてないだけだ。そういう清奈のいいところ、これからもっと見つけていこうな」


雅臣先輩は傘を肩で支えながら私に手を伸ばすと、くしゃりと頭を撫でてきた。

それだけで、胸がときめく、世界が煌めく。

雅臣先輩の言葉は、まるで和歌のように美しく優しく耳に届いた。