「どんな人間も勢いがあるときはいいが、それも一時だ」
「は、はぁ」
雅臣先輩の不明瞭な言葉に、在田先輩は気の抜けた返事をする。
けれど雅臣先輩は気にした様子もなく、微笑を浮かべてウロウロと教室を歩きだすと、またもや口を開いた。
「いつかは花が咲き、枯れては散るように自然と滅びる」
「……つまり、なにが言いたいんですか」
在田先輩の声には、“何言ってるんだ、コイツ”という心の声が漏れ出たような不機嫌さをまとっていた。
確かに、雅臣先輩の言葉は雲をつかむのと同じくらい難しい。
そんでもって、理解するまでに時間がかかる。
在田先輩がちょっぴりイライラする気持ちもわからなくはないけれど、雅臣先輩は決して意味のない事は言わない。
だから私は、雅臣先輩の言葉を待った。
「つまり、お前が進学校に落ちたのは、自分のおごった態度が招いた必然的な滅びとも言える」
「は……? どういう意味だよ!」
敬語が取れた在田先輩は、完全に怒っていた。
ちょっと……どうしてそこで喧嘩売るの!?
さすがの私も肝が冷えて、雅臣先輩の制服の袖をクイッと引っ張る。
けれど雅臣先輩はこの緊迫した空気に気づいているのか、いないのか、私を振り返って「はははっ」と呑気に笑う。
「まぁ、任せなさい」
任せなさいって言われても……心配しかない!
私は緊張の面持ちで張り詰めた空気の中、平然としている雅臣先輩がまた変なことを言わないようにと見張る。


