「私、もう自分の夢を恥じない! 自信をもって夢に走っていきたい! 私を強くしてくれたのは、みんなのおかげだって伝えて!」
弱かった彼女は、誰よりも強く真っすぐに私を見つめ返してくれる。
「君たち、いい加減に……」
痺れを切らした駅員さんがこちらに歩いてこようとすると、紫ちゃんは唐突に「やぁぁぁっ!」と声を上げて駆け出す。
「え、紫ちゃん!?」
「なっ、何をするんだ!」
驚いてその背中を見送る事しか出来ないでいると、紫ちゃんは小さな体で駅員に飛びついた。
そして、顔だけで私を振り向くと、緊迫した顔で叫ぶ。
「行って、清奈ちゃん!」
「早く行け、清奈!」
紫ちゃんの声に、遠くから業吉先輩の声が重なる。
それだけだ、私は迷わず駆け出した。
後ろ髪を引かれないといったら嘘になる。
けれど、それ以上に自分がしなければならない事が見えていたからかもしれない。
1度も足を止める事なく、ホームを目指して走る。
「おい、待つんだ!」
駅員の静止の声が聞こえたが、私は立ち止まらない、振り返りもしない。


