「救ってあげてほしい」

「雅臣先輩……」

「俺が大切な人の存在に救われたように、過去に囚われている兄を……頼めないだろうか」


その言葉は、私の胸に真っすぐに届いた。

そうだ、今度は私が景臣先輩を救う番。

それに、勝手に何も相談しないでいなくなろうとした事、みんなの分まで文句を言わないと気が済まない。

君はもう、私達の大切な仲間だ。

名前なんて関係ない、誰だっていい、ただ君という存在を必要としている。

それを、自分に孤独を強いている彼に全部伝えなければ。


「はい、約束します」

「ありがとう」


私達は笑顔を交わし、頷き合った。

そして私は、学校に来てない景臣先輩の事を尋ねた。

すると家族にも「体調が悪いから」の1点張りで、部屋からほとんど出てこないらしい。

ただ転校日である今日は、手続きとあいさつに学校へ来るとの事だった。