「……え?」
私の加入届は?
一体どこで、進路希望調査票にすり替わったのだろう。
まさか、さっきぶつかった人の……?
どうやら彼は、手に進路希望調査票を持っていたらしい。
拾った加入届けを私に手渡すはずが、うっかり自分の持ち物を差し出してしまったようだ。
なんか、慌ててるみたいだったし……。
「はぁ……」
ため息をつきながら、進路希望調査票に再び視線を落とす。
「在田 業吉(ありた なりよし)……2年生?」
進路希望調査票には、そう書かれている。
ってことは、あのヤンキーみたいな人、先輩だったんだ。
そんな失礼なことを考えながら、視線をさらに下に下げる。
【希望する進路】と書かれた下に、四角い枠がある。
この人の夢って、何だろう。
私にはない他人の夢が、ふと気になってつい見てしまった。
その瞬間、ドクンッと心臓が跳ねる。
「え……」
そこに書かれた文字を見て、私は驚きの声をもらす。
枠に収まりきらないほどの大きな文字。
荒々しく、【くそくらえ!】と殴り書きされていた。


