次の日の朝、私の目の下には大きなクマが居座っていた。

それだけで、今日1日が終わってしまったかのように気分が沈む。

それでも昨日ズル休みしてしまったので、今日こそは学校に行かなければいけない。

学生も会社員バリに大変なのだ。

なんせ、単位ばかりはどうしようもならないし、大学進学に響くから。

仕方なく私は、普段使った事のないファンデーションでクマを隠すと渋々ながら登校した。




「清奈ちゃん、大丈夫?」


席に着くと、真っ先に紫ちゃんが声をかけてくる。

昨日休んでしまったので、心配をかけてしまったみたいだ。

私はぎこちなく笑って頷くと、椅子に腰掛ける。


「昨日、雅臣先輩も学校来ないし、心配だったんだ。雨すごかったもんね、風邪?」


──雅臣先輩。

紫ちゃんが彼をそう呼ぶ事に、ものすごく違和感を感じた。

何も知らなければ、サラッと流せたのだろう。

でも、あの人は雅臣先輩じゃない。 ちゃんと、景臣っていう名前があるのだ。

私達はお互いを誰よりも大切に思っている。

だからこそ、景臣先輩は部員のみんなに言うべきだったんだ。自分が雅臣ではなく、景臣先輩だという事を。