私は記入済みの部活の加入届を手に、3階にある教室を出ると、迷わず廊下を突き当りまで進んで階段を下りた。
もちろん、古典研究部の部室へ向かうためだ。
場所は入学説明会の時に、部活を一通り見学する時間があったので確認済み。
古典研究部の部員は1名しかいないらしく、見学時に部室をのぞいた時は誰もいなかった。
だから、その部員が雅臣先輩という保証はない。
けど、君かもしれないって予感がするのだ。
そして、1階の廊下を歩いている時だった。
後ろからバタバタと慌しい足音が聞こえて、振り返ろうとした瞬間──。
ドンッと後ろから、誰かにぶつかられる。
「わっ!」
その衝撃で、部活の加入届を落としてしまった。


