「部活、何部だったかしら」

「……古典研究部」

「あぁ、その古典……なんとかは、将来に必要な事なの?」


あからさまに落胆したような顔で、お母さんは私に聞く。

必要じゃないと、私は自由に部活すら選べないの?

あの古典研究部にいたからこそ、わかる。

両親は必要か否か、損か得か、いつも二択で物事の善し悪しを決める。視野が極端に狭い。

けれど、世界には二択以外の選択肢がたくさん溢れている。

それは、やりがいや夢、信念や思いやり、損得勘定以外の理由で物事を選択していく人もいるのだ。

それを私は、夢を追いかける紫ちゃんや自分のなりたいモノを探すために悩み抜く業吉先輩、愛する人のために身を引こうとした小町先生、そして──。

──私のために人生を賭けてくれた景臣先輩から、教えてもらった。


「無駄な事に時間を割いたって、しょうがないのに」

「くだらない事に時間を使えるのも、今だけだぞ」


この人たちからしたら、私のやっている事は無駄な事、くだらない事なのだ。

勝手に決めないでよ……。

部活にいる時、私は誰かの望む姿ではなく自然体でいられた。

この16年間生きてきた中で、一番輝いていると思えた時間だった。

それを否定されたくない、私の人生は私だけのモノだから。