「和歌とか、好きに研究する部活かな」

何回か会話して、部活見学行くからって切り上げよう。たぶん、彼女もそうするつもりだろうし。

そう思いながら、うわべで薄っぺらい会話をする。


「小泉さんって、そういうのが好きなんだ?」

「うん」

「へぇー」

「……それじゃあ、そろそろ部活見学行くね」


会話の終りが見えて、私はあらかじめ決めていた返事をすると立ち上がる。

彼女に手を振って、席を離れようとした時、隣の席の物部さんと目が合った。


「「あ……」」


声が、重なる。

こうなったら無視して立ち去るわけにはいかず、面倒だと思いながらも手を振った。


「また明日ね」

「っ……」

そう言ったけど、物部さんは唇をかみしめて俯いてしまう。

やっぱり、話しかけない方がよかったのかな。

明らかに困ってる物部さんに軽くショックを受けつつ、私はその場を離れた。